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花巻の街を離れ北上川を渡って新花巻駅に程近い小山の中に宮沢賢治記念館の建物が建っている。訪れた季節は秋、すっかり紅葉入り口から建物へとつながる小径は落ち葉掃きの作業でいそがしそうだ。
宮沢賢治は明治29年(1896年)、岩手県のこの地に生まれた。東北の農村といえば凶作に不景気といった不幸な時代が長く続いていた所でもある。その中で妙法蓮華経の思想を胸に科学者であり、教育者であり、そして優れた文学者、作詞家、作曲家であった。
林の中に建つ小さな三角屋根の建物が宮沢賢治記念館である。NHK特集『銀河鉄道の夜』の中でも少しばかり紹介された事がある。
入口前に建つ梟の像をはじめ、街灯や看板など梟のモチーフを使った物が多い。建物の中は、宮沢賢治と彼の世界イーハトーブを理解するための展示が並んでいる。最初に現れる硝子板の地図には、彼の作品に登場する地名が示されている。そこから右側の部屋には三面スライドと世界各国語に翻訳された賢治の作品、そして遺品が展示されている。外国語の翻訳作品の中には、彼も学んだというエスペラント語の本も展示されている。遺品は、愛用のセロ、鍬、メトロノーム、音楽書、譜面台などが展示されている。こういった遺品は昭和20年(1945年)の花巻大空襲で失われた物も多いという。
硝子板の地図から左へ進むと順に宮沢賢治の人としての姿を写真や作品で追いながら展示している。彼の家族や関わりのあった人々の写真が並んでいる。継いで仏教との関わり、近代科学との関わり、農村や教育者としての関わりなどが展示されそれぞれの間を関わりのある作品の精密複写原稿や原稿のパネルが並んでいる。原稿は原
稿用紙に書かれたものも多いが半紙のようなものに書かれた作品もある。
賢治の作品で極めて特徴的なのが、科学的現象や鉱物、天文に関する表現である。そこで鉱物標本や大銀河図ドームという半球形の星座の表示されたドーム、科学現象のビデオなどもあり賢治の作品の理解と味わいを深めるのに役に立っている。
幻灯シアターと呼ばれるスライドでは『注文の多い料理店』、『やまなし』など4作品が絵本風に見聞きする事ができるようになっている。
建物の奥にある展示室では展示内容を変えて特別展示が行われている。前回訪れた時には『銀河鉄道の夜』の自筆原稿が展示されていたが、今回は賢治の作品に登場する『鹿踊』が展示されていた。
記念館の周囲にも付属する施設がある。宮沢賢治童話館、賢治設計の南斜花壇、日時計花壇、そしてイーハトーブ館である。
なお記念館と駐車場を挟んで「山猫軒」はご存じ『注文の多い料理店』をモチーフにしたレストランだが、「イーハトーブ定食」がお勧めであることを付記しておく。
(田辺浩昭)
●所在地:〒025-0011 岩手県花巻市矢沢1-1-36
●電話:0198-31-2319
●開館時間:09:00-16:30
●休館:12月28日〜1月4日
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