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文学館あちらこちら

第5回
大佛次郎記念館

 港、横浜。
 繁華街元町の近く、港の近くの小高い丘にに港の見える丘公園がある。
ここは、マリンタワー、ランドマークタワー、ベイブリッジなどの横浜名所が展望できる絶好のスポットになっている。
 この公園に隣接して、赤い煉瓦の建物が建っている。よく見ると、ところどころに猫を配したこれが大佛次郎記念館である。
大佛次郎は明治30年(1897年)に横浜に生まれた。現在の横浜市中区というから、横浜の港の近くで生まれたことになる。その後、東京へ転出、東京帝国大学を卒業後、一時、外務省に勤務するが、1924年(大正13年)に「鞍馬天狗」で一躍人気作家になり、文筆活動に専念することになる。この鞍馬天狗は同時に映画化されている。ちなみに、「大佛」とは、その当時から住んでいた鎌倉の大仏にちなんだものだという。その後、「霧笛」、「帰郷」などの横浜を舞台にした小説や「パリ燃ゆ」などの歴史小説、そして、昭和48年(1973年)に没するまで書き続けてライフワークとなった「天皇の世紀」などを発表。現代文学史を語る上で、省けない人物である。また、大の猫好きとして知られ、その様子は「スイッチョ猫」などの作品からも知られている。
 記念館は、大佛次郎の死後、遺族から横浜市に対して寄贈された遺品、蔵書を収容するとともに、その後、追加収集された貴重なパリ・コミューン関連の資料を収蔵、公開している。
 まず、記念館の入り口に着くと、大仏次郎の愛した猫たちが来館者を迎えてくれる。猫は、館内の吹き抜けの階段に、明かりごとに配され、あたかも、猫が楽しそうに出迎えてくれているような気分にさせる。展示は主に2階で行われ、大佛次郎宅の書斎や今の再現、パリ・コミューン関連の資料、大佛次郎の遺品などが展示されている。
 大佛次郎は青空文庫に収容するには、まだまだ、遠い作家ではあるが、ここは彼の作品のファンには堪えられない空間であることは確かだ。館内には、大佛次郎関連の蔵書を有する図書室も併設され、ゆっくりと読書が出来るようになっている。また、1階には、静かな和室もあり、会合などにも使用できる。
 そして、1階の公園と港に面した位置には、喫茶室もあるため、のんびりと一日、読書を決め込むのにはもってこいの場所である。(1999.10 大野 晋)

  ●所在地:〒231-0862 神奈川県横浜市中区山手町113番地
  ●電話:045-622-5002
  ●開館時間:4月〜9月 10:00-17:30(入館は17:00まで)
        10月〜3月 10:00-17:00(入館は16:30まで)
  ●休館:月曜日(祝日と重なる場合には火曜日)、
   祝日の翌日(12月〜3月の間のみ)但し翌日が土・日曜の場合は火曜日、
   年末年始(12月28日〜1月3日)
  ●HP:http://www.city.yokohama.jp/ne/sights/spot/h/jirou-j.html


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