第17回

笹沢佐保記念館「かかわり〜な」

 上州名物と言えば「かかあ天下とからっ風」。三度笠片手の渡世人と口にくわえた長い爪楊枝。夕日を背に「あっしには関わりねぇことでござんす」とニヒルに笑って去ってゆく…と言えば誰もが知っている木枯らし紋次郎の世界である。小説として読まれているだけでなく市川崑監督・監修、中村敦夫主演のテレビ時代劇として放映され多くのファンを持っている。

 その紋次郎の生まれ故郷、上州新田郡(ごおり)三日月村が再現されたテーマパークがある。群馬県桐生市の近く、やぶ塚温泉内の松林の丘陵の中に立てらたそれは、江戸時代後期の時代考証を基に再現された街道筋の街並みである。ほぼ一里の街道を体験できる施設の中に『木枯らし紋次郎』の作者である笹沢佐保の記念館「かかわり〜な」が存在する。笹沢佐保は、今も活躍を続ける作家であり、神奈川県の出身である。現在は佐賀県佐賀市に転居して執筆活動を続けている。短く刈った頭髪とサングラスが特徴的なミステリ作家である。

 三日月村の入口は関所風の建物である。入場料の支払時に中で使える一文銭(=百円)へ両替するが、これが本当の「寛永通宝」を模したもので一層雰囲気を高めるのに役に立っている。入口から近く、峠の茶屋を過ぎた所で藁葺きの笹沢佐保記念館「かかわり〜な/木枯らし紋次郎記念館」がある。
 一歩中へ入ると囲炉裏の座敷、かまどが展示されている。囲炉裏の脇には巨大カラスの紋次郎人形が来場者を出迎える。靴を脱いで座敷を抜けると紋次郎のビデオ映像が流されている。宿場のヤクザ者をばっさりと切る紋次郎…これが各ビデオコーナーでの案内役を務めている。
 展示場の本館には、現在までの年表や執筆作品の収まった本棚、原稿用紙、覗きカラクリ形式の関連映像、そして作者の執筆室や仲間との交流の場である酒場のイメージを再現したセットがある。本館では「作者の生い立ち」「執筆の様子」「作者が作品を語る」という構成がそれぞれの場所で見ることができる。
 「新・一茶捕物帳」「宮本武蔵」、そして「木枯らし紋次郎」の生原稿も展示してあり、几帳面で綺麗な文字が美しいのが印象的である。
 紋次郎縁の品として三度笠や刀、テレビ番組の俳優との写真なども飾られている。

 記念館を出て道を行けば木枯らし紋次郎の生家や宿場町が再現されており、両替した一文銭で買い物や食事ができるのが面白い。土産物やだけでなく道端のお地蔵さんや炭焼き小屋などにも細かいこだわりを感じるし、時代物が好きな人間にはその時代の住人になったような気分も楽しめるであろう。それほど大きなテーマパークではないが、仕掛け洞穴の「怪異現洞」、パズル風のからくりが楽しめる「絡繰屋敷」、傾いた倉が面白い「不可思議土蔵」など子供でも楽しめる仕掛けもある。
 物語の中を体験できる数少ない施設としてもぜひまた訪れてみたい。三日月村を紹介するサイトも多く存在するので、お出かけの前にご覧になるのが良いと思う。

(レポート 田辺浩昭)

  ●所在地:〒379-2301 群馬県新田郡薮塚本町三日月村
  ●電話:0277−78−5321・5415
  ●開館時間:午前9時〜午後5時
  ●HP:http://www.sunfield.ne.jp/~mikazuki/monjirou/index.html

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