第25回

松本清張記念館

 北九州市の西小倉駅にほど近い、小倉城や中央図書館、歴史博物館などの集まっている一角に「松本清張記念館」が置かれています。小倉城の端にある建物は、四角いドーム様な屋根を載せた建物とL字状になった建物から構成されています。石のみで構成された外観に無機質なイメージを感じます。松本清張氏は、明治42年にこの福岡県北九州市小倉北区の地に産まれました。それを記念してこの記念館が建てられたようです。

 さて、館内は写真撮影厳禁で残念ながら入口の写真のみです。入口に入り、入場券を購入しましょう。記念館単独で購入することもできますが、小倉城、小倉城庭園も見学できるセット券がお徳になっています。入場券を購入し、先に進むとそこで改めて入場券をチェックされいよいよ記念館の展示を見ることができるようになります。

 展示室の入口には松本清張の書いた全ての作品のハードカバーの表紙が展示されている大きなパネル状の壁と東大寺の巨大な礎石が出迎えてくれます。
 最初のコーナーでは二つの展示を見ることができます。「松本清張とその時代」という展示では、彼の人生が年表となり実際の歴史上の出来事との対比や当時の写真、映像資料、往時を偲ぶ物品が展示されているだけでなく、その出来事が彼の作品『昭和史発掘』や『半生の記』の中でどのような記述をされているかなどが断片的に掲載されています。物品の展示の中には清張氏の手紙や小説の掲載誌、作品の新聞広告など幅広い展示がされ面白いですね。同じ場所のもう一つの展示「松本清張の全仕事」のコーナーでは彼の描いてきた作品を「現代小説」「推理小説」「歴史小説と時代小説」「現代史」「古代史」「松本清張フィルモグラフィ」のジャンルに分けてパネルと作品資料の展示を行っています。現代史のパネルでは、モニタがはめ込まれ、清張氏自身が彼の関心のあった昭和史の出来事などについて語るインタヴュー映像が流されています。また、「フィルモグラフィ」のコーナーでは、演劇化や映画化された作品のシナリオなどのほか、映画の映像が短編で流され懐かしい作品を見ることができるようになっています。
 以上の二つの展示は廊下で向かい合うような形に並んでいるのですが、その奥には小さなシアターが置かれています。その名も「推理劇場」。筆者が訪問時には『記念館オリジナル映像「点と線」』を上映していました。清張作品の挿絵を手がけた風間完画伯の絵をデジタルアニメ化し、俳優さんが声を付けているという本格的な作品で上映時間も60分あります。時間に余裕のある人はゆっくり見ていくと良いかも知れません。

 最初の展示はL字状の建物の内部にある展示室1ですが、次に四角いドーム様な建物へと入っていきます。こちらが展示室2となります。
 大きな吹き抜けになっている展示室2の目玉は、清張氏が亡くなった時点の自宅をそのままコピーした巨大な展示で「思索と創作の城」と名付けられたものです。展示物である家の中へは入ることができませんが、玄関、応接間、家の大部分を占めるであろう一階と二階の書庫、そして亡くなった時間を指し示したまま止められている時計の掛かった二階の書斎などが窓ガラス越しにみることができます(3万点の書籍が収められている書庫は壁が透明化されていて大部分を見ることが可能な他、置かれたモニタにより死角の部分も表示されています)。また、裏側の見えない個所も壁に付けられたスリットをとおして見れるようになっており、ファンの知的好奇心を満足させる工夫がなされています。
 家の周囲には、清張氏の愛用品や推敲中の原稿、古代史資料などが展示されています。展示された原稿の中には当時執筆・連載中であった『神々の乱心』の最終回(絶筆)が掲載誌と一緒に展示してあるほか、書きかけで終わった『江戸綺談 甲州霊嶽党』の原稿もあります。

 記念館では展示室の他に企画展示室・映像ホール、ミュージアムショップ、読書室、情報ライブラリー、喫茶室などの設備もあります。ミュージアムショップでは清張氏の作品の文庫などを購入することができます。読書室では作品を読むことができるようになっています。情報ライブラリーでは設置されたパソコンにより情報の検索ができるようになっています。

 車で来館される場合、今回は小倉城地下の有料駐車場を利用しましたが、「小倉城・松本清張記念館」と書かれた出口から真っ直ぐ小倉城前を横切っていった方が階段はあるにせよ近いようです。

(レポート 田辺浩昭)

●所在地:〒803-0813 北九州市小倉北区城内2番3号
●電話:093−582−2761
●開館時間:午前9時30分〜午後6時(入館は5時30分まで)
●休館日:年末(12月29日〜12月31日)
●HP:http://www.kid.ne.jp/seicho/

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