楽しい電子ルリユール教室-10

その5 画像を加えて仕上げる(2)

仲 晃生


 青空文庫のファイルを素材に、「T-Time」で読めるシンプルな
オリジナル電子本を作る基本テクニックを紹介します。
いよいよこの講座も最終回です。
今回は、前回とは違う方法で、画像を使ってみます。
名付けて、「画像総背番号制」!


5−1.画像総背番号制の仕組み

 この恐ろしげな呼び名の画像使用法の仕組みは、いたって簡単です。

 1)冒頭の <T-Time> タグと </HEAD> の間に、使う画像名とそのID番号(背番号!?)とを、すべて記入・列挙します。ページ内での表示位置もここで指定します。IDは1回の使用ごとに違うものを割り当てるので、背番号と言うよりもむしろ、登場箇所指定券とでも呼ぶ方がふさわしいかも知れません。
 2)画像を使う場所にID付きのタグを入れます。つまり、冒頭に登録したデータを使って、各画像に「ここに姿を現せ!」と命令、あるいは、「ここで出現してネ!」「ここにお姿を現してくださいませ〜」などとお願いする、というわけです。

 これだけです。シンプルでしょ?

5−2.画像登録をすませよう

 ここでは、「haikei.jpg」という背景画像と、「madonna1.jpg」と「madonna2.jpg」いう挿し絵画像とを使います。
 使う画像は、制作中のファイル「bocchan.txt」と同じ階層に入れてください。

 冒頭の <T-Time> タグと </HEAD> の間に、<t-PDEF> という画像指定タグを、次のように書き込みます。(背景画像の新しい使い方を今回説明するため、前回使った <BODY BACKGROUND="haikei.jpg"> というタグは外し、<BODY> に戻してあります。これに対応させるため、末尾の </BODY BACKGROUND> も </BODY> に書き換えておいてください。)

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<HEAD>
<TITLE>坊っちゃん</TITLE>
<T-Time mleft=10% mtop=12% mright=10% mbottom=20% valign=middle align=left hashiraface="行書体,ペン字体,秀英太明朝0208,教科書体" hashirasize=12 hashira=red>
<t-PDEF id=1 src="haikei.jpg" height=100% width=100%>
<t-PDEF id=2 src="madonna1.jpg" height=40% hspace=12 vspace=12 x=0 y=0 a=5 o=1>
<t-PDEF id=3 src="madonna2.jpg" width=300 hight=256 hspace=6 vspace=6 x=35 y=-25 a=7 o=1>
<t-PDEF id=4 src="madonna1.jpg" height=50% hspace=12 vspace=12 x=-20 y=10 a=1 o=1>
</HEAD>
<BODY>
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 画像にID番号を割り振り、登場するページ内での位置を指定する。それが <t-PDEF> タグです。
 1)id= は、「T-Time」が画像に割り当てるID番号、つまり画像の背番号・登録番号です。各画像が登場するごとに、すべて違う数字を割り当てます。
 2)src="..." には、使用する画像の名前を指定します。
 3)height=50% は、画像の高さをページの高さを基準にして表したものです。
   ピクセル数で表す時は、height=150 のように、単位のない数字で表します。
   画像の幅を指示する場合は、width=n% または width=n とします(n は任意の数字)。
 4)hspace=12 は、画像と文字間に水平方向の余白を 12ピクセル開けるという意味です。vspace=12 は、画像と文字間の垂直方向の余白が 12ピクセルという意味です。
 5)x=0 y=0 a=1 は、ページの中の画像の位置を指定しています。
   a= で示される原点(*ichi.jpg 参照)から、右方向に m ピクセル、下方向に n ピクセル離れた位置に表示したいとき、x=m y=n と指定します。
   a= の後には 0 から 8 までの数字が入り、それぞれ次の位置を示します。
a=0:ページのド真ん中
a=1:ページの左肩。指定がないときはココ
a=2:ページの上中央
a=3:ページの右肩
a=4:ページの右中央
a=5:ページの右下
a=6:ページの下中央
a=7:ページの左下
a=8:ページの左中央
 6)o=1 の「o」はアルファベットのオーです。o=1 と指定しないと、画像の上に本文テキストが上書きされてしまいます。つまり背景画像として使う場合、この指定は不要です。

5−3.画像を呼び出す!

 IDを割り当てた画像を、電子本のどのページに表示するかを指定します。

(1)挿し絵を呼び出す!

 画像を呼び出す <t-PHEAD> タグを、本文中に次のように指定します。(ここでは第1章第1段落の末尾に入れてみました。)

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 <t-R>親譲(おや<!>ゆず)りの<t-R>無鉄砲(む<!>てっ<!>ぽう)で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど<t-R>腰(こし)を<t-R>抜(ぬ)かした事がある。なぜそんな<t-R>無闇(むやみ)をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が<t-R>冗談(じょうだん)に、いくら<t-R>威張(いば)っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と<t-R>囃(はや)したからである。<t-R>小使(こづかい)に負ぶさって帰って来た時、おやじが大きな<t-R>眼(め)をして二階ぐらいから飛び降りて腰を抜かす<t-R>奴(やつ)があるかと<t-R>云(い)ったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。<t-PHEAD id=2 delay=1><t-PTAIL id=2><BR>
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(*gazo-26.jpg 参照

 <t-PHEAD id=2 delay=1> は、id が 2 の画像を、このタグがあるページの1ページ後に表示する、という指定です。
 仮に delay=2 とすれば2ページ後に表示することになります。
 delay=0 とすればそのページに表示されますが、delay=0 を使いたい場合は、<t-PB>(改ページ・タグ)の直後に指定してください。

 <t-PTAIL id=2> は、id=2 の画像の表示を終了させるためのタグです。表示を1ページのみで終了させたい場合は、上記の例のように、<t-PHEAD> タグの直後に付けます。
 これがないと、<t-PHEAD > タグが指定する表示開始ページ以降のすべてのページの同じ場所に、同じ画像(この場合は id=1 の画像)がずうっと表示されることになります。

 もう一つ試してみましょう。第2章の最初のページに id=3 の画像を呼び出したい場合は、次のように指定します。

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 出立の日には朝から来て、いろいろ世話をやいた。来る<t-R>途中(とちゅう)小間物屋で買って来た<t-R>歯磨(はみがき)と<t-R>楊子(ようじ)と<t-R>手拭(てぬぐい)をズックの<t-R>革鞄(かばん)に入れてくれた。そんな物は入らないと云ってもなかなか承知しない。車を並べて停車場へ着いて、プラットフォームの上へ出た時、車へ乗り込んだおれの顔をじっと見て「もうお別れになるかも知れません。随分ご<t-R>機嫌(きげん)よう」と小さな声で云った。目に<t-R>涙(なみだ)が<t-R>一杯(いっぱい)たまっている。おれは泣かなかった。しかしもう少しで泣くところであった。汽車がよっぽど動き出してから、もう<t-R>大丈夫(だいしょうぶ)だろうと思って、窓から首を出して、振り向いたら、やっぱり立っていた。何だか大変小さく見えた。
<t-PHEAD id=3 delay=1><t-PTAIL id=3><t-PB>
   二<BR>
<BR>
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(*gazo-27.jpg 参照


(2)背景画像を呼び出す!

 背景画像も仕組みは同じです。

 冒頭の <HEAD>...</HEAD> の後に続く <BODY>
を削除し、代わりに次のように入れます。

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<BODY><t-PHEAD id=1 delay=0>
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(*gazo-28.jpg 参照

 この後、<t-PTAIL id=1> をどこかに書き込まない限り、背景に id=1 の画像が最後まで表示されます。

 この機能を使えば、表紙だけ特別な画像を使うとか、章ごとに背景画像を変えるとか、凝った作りが楽しめます。たとえば、id=1 の画像を表紙にのみ使いたい場合は、冒頭の <BODY> タグの直後に、

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<BODY BGCOLOR="#FFFFFF"><t-PHEAD id=1 delay=0><t-PTAIL id=1>
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 と指定すればいいわけです。


5−4.TTZ 化する

 「T-Time パブリッシャーズ・キット」をお持ちの方は、そのマニュアルに従い、そうでない方は、ボイジャー・サイトの「T-Time 出版センター」を利用して TTZ 化を行ってください。

5−5.さらに高度なテクニックは……

 この講座で紹介したのは、T-Time 向け電子本作成の基本です。
 この他さらに、外字を本文中に埋め込む方法や、数式、返り点の表示方法、ページごとに縦組み、横組みを変更する方法など、痒いところに手が届く詳しいマニュアルが、ボイジャー・サイトで公開されています。
 困った時には、ぜひ訪ねてみてください。
 ダウンロードして、プリントして使うと便利です。(この項了)

次回からは、電子本作者の方々に自分が作成した電子本を例にとりながら、作成のプロセス、工夫した点などを紹介していただきます。お楽しみに。

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